こんにちは!HRマネジメント編集部です。
OKRとは、「どこを目指すか(O)」と「近づいているかを測る数字(KR)」をセットで決め、1〜3カ月ほどの短いサイクルで見直していく目標管理の方法です。
会社・チーム・個人の目標を同じ方向にそろえやすく、人事評価や給与とは切り離して運用するのが基本です。
「うちのような小さな会社にOKRは大げさでは?」と感じる人事担当の方もいるかもしれません。
ただ、組織の階層が少ない中小企業は、目標をそろえやすいぶん、OKRの良さを出しやすい面があります。
この記事では、専門用語をかみくだきながら、仕組み・MBOやKPIとの違い・具体例・導入の進め方まで順番に整理します。
OKRとは?意味をやさしく解説
OKRは「Objectives and Key Results」の略で、日本語にすると「目標と主要な成果」です。
• Objectives(O):目指したい姿。ワクワクする言葉で、数字を入れずに書く
• Key Results(KR):Oに近づいているかを測る数字。ひとつのOにつき3つ前後
たとえば「お客様に選ばれるお店になる」がO、「リピート率を45%にする」「口コミ投稿を月30件にする」がKRです。目標を“言葉”と“数字”の2段で持つことで、気持ちの向きと成果の測り方を同時にそろえられます。
OKRの3つの特徴
1. 会社・チーム・個人の目標がつながる:会社の目標をもとにチームの目標を決め、さらに個人の目標へと落とし込みます。
2. 見直しのサイクルが短い:1カ月〜四半期(3カ月)ごとに振り返り、軌道修正します。
3. 少し背伸びした目標を置く:達成率60〜70%で「成功」とみなすのが一般的です。給与や昇格とは切り離して使います。
なぜ今、OKRが注目されているのか
OKRはインテルで生まれ、GoogleやメルカリなどのIT企業が取り入れたことで広く知られるようになりました。
市場やお客様のニーズが短期間で変わる今、年1回の目標設定では対応が遅れがちです。短いサイクルで「決める→測る→見直す」を回せる点が、変化の速い時代に合うと考えられています。
日本では、人事評価の手法としては目標管理制度(MBO)が長く使われてきました。OKRはそれに置き換わるものというより、「会社の向かう先をみんなでそろえるための道具」として、MBOと併用されることも多い手法です。
OKRの仕組み:O・KR・自信度・スコアの4つの要素
OKRは、次の4つの要素で成り立っています。まずは全体像をつかみましょう。

「60〜70%の達成で成功」とはどういうこと?
OKRでは、100%達成できる目標は「簡単すぎる」と考えます。
全力で取り組んで6〜7割に届くくらいの目標が、人の力を引き出しやすいという考え方です。
ただし、OKRに慣れていない会社や、目標を達成する経験がまだ少ないチームでは、最初から高い目標にすると自信を失ってしまうこともあります。
その場合は「がんばれば100%届く」レベルから始めて、慣れてきたら少しずつ背伸びの度合いを上げる進め方も有効です。
数字を決めるときは「SMART」を意識する
KRを決めるときは、次の5つの視点で見直すと、あいまいな表現を防げます。
・Specific(具体的か)
・Measurable(数字で測れるか)
・Attainable(がんばれば届くか)
・Relevant(会社の目標とつながっているか)
・Time-bound(期限があるか)
OKRとMBO・KPIの違い
最大の違いは、OKRが「評価・報酬と切り離して、組織の向かう先をそろえる」ために使われる点です。
MBOは評価や報酬を決めるための仕組み、KPIは進み具合を点検する物差しという役割で、目的が異なります。

OKRとMBOは併用できる
「MBOをやめてOKRに切り替えなければいけない?」という心配は不要です。
OKRは“会社の向かう先をそろえて挑戦する”ため、MBOは“評価と報酬を決める”ためと役割を分け、併用している会社も少なくありません。
ただし、OKRの達成率をそのままMBOの評価に使うと、社員が達成しやすい低い目標ばかり立ててしまいます。
OKRのスコアは評価に使わない、という線引きは守りましょう。
KPIとはどう使い分ける?
KPIは「目標に向かう途中で、やるべきことが順調に進んでいるか」を見る数字です。
OKRのKRとよく似ていますが、KPIは100%達成を前提に部署ごとに置くことが多く、OKRは会社全体で少し高めの目標を共有する点が異なります。
どちらが優れているということではなく、OKRで向かう先を決め、KPIで日々の進み具合を点検する、という組み合わせも考えられます。
中小企業がOKRを取り入れるメリットと注意点
中小企業にとってのOKRの価値は、少ない人数でも「いま一番大事なこと」にそろって取り組めるようになる点にあります。
メリット:中小企業だからこそ効果が出やすい4つの理由
1. 優先順位がはっきりする:目標を絞るため、「今は何を優先し、何をやらないか」を全員が判断しやすくなります。人手が限られる会社ほど助けになります。
2. 経営の方針が現場に届く:会社の目標からチーム・個人の目標へつなげるので、社長や経営層の考えが日々の仕事に反映されやすくなります。
3. 自分の仕事の意味が見える:自分の目標が会社の目標とつながっていると実感できると、仕事へのやる気や会社への愛着(エンゲージメント)の向上が期待できます。
4. 部署をまたぐ会話が増える:目標が全社に公開されるため、役職や部署に関係なく同じ言葉で話しやすくなります。
組織が小さいと、会社→チーム→個人の階層も少なく、目標をそろえる手間も小さくて済みます。
10名以下の少人数でも、チームの目標を省いて「会社→個人」の2段で運用するなど、規模に合わせて簡単にできます。
注意点:始める前に知っておきたい3つのこと
・「評価」とセットにしない:OKRの達成度を昇給・昇格に直結させると、達成しやすい低い目標ばかりになります。評価制度とは切り離しましょう。
・運用の手間がかかる:短いサイクルで見直すため、週1回の進捗確認や期末の振り返りの時間を確保する必要があります。最初から全社でやらず、一部のチームで試す方法もあります。
・経営層の理解が欠かせない:新しい仕組みを定着させるには、経営者自身がOKRを作り、進捗を見せることが大切です。「現場に任せきり」では続きません。
また、OKRはあくまで手段です。
「何に困っているのか」(例:社員が言われたことしかやらない、部署ごとにバラバラに動いている)を先に整理し、OKRがその解決に合うかを確認してから導入を決めましょう。
中小企業向け|OKR導入の進め方5ステップ
一般的な解説では手順が8〜10ステップに分かれていることもありますが、中小企業では次の5ステップに絞れば十分に始められます。
1. 導入の目的を決め、経営層の合意を取る
「何を解決したいのか」を一文で言葉にします。たとえば「部署ごとにバラバラな動きをそろえたい」「社員が自分から動く会社にしたい」などです。
社長・役員が「自分たちで使う」と決めることが出発点です。
2. 会社のOKRを決める
経営層だけで決めず、管理職や現場の意見も聞いてから決めます。
会社のOは1つか、多くても数個に絞り、KRを3つ前後つけます。期間は四半期(3カ月)が目安です。
3. チーム・個人のOKRに落とし込む
会社のOKRを見ながら、「自分たちのチームは何で貢献できるか」を考えます。
個人のOKRは上司と話し合って決め、本人が納得できる形にします。少人数の会社は、チームの段を省いて「会社→個人」だけでも問題ありません。
4. 週1回のチェックインで進み具合を確認する
15〜30分程度の短い時間で、「進捗」「自信度」「困りごと」「次の一手」の4つを確認します。
うまくいっていない理由を責める場ではなく、どうすれば良くなるかを話す場にします。
5. 期末に振り返り、次の期のOKRにつなげる
KRごとに達成度を採点し、目標が高すぎた・低すぎたなどの理由を話し合います。
ここでの採点は「人の評価」ではなく「目標の見直し」のためのものです。結果を次期の会社OKRに生かします。
はじめの1回は「小さく」がおすすめです。
最初の四半期は全社でなく1つの部署や、経営層とリーダーだけで試し、うまく回りそうなら範囲を広げると、手間と混乱を抑えられます。
OKRの具体例|従業員30名ほどの製造業を想定
ここでは、従業員30名ほどの製造業を例に、会社のOKRから部署のOKRへつなげるイメージを紹介します。
数字はあくまで例なので、自社の実績に合わせて置き換えてください。

上手なOKRを作る3つのコツ
・Oに数字を入れない:「売上を1.2倍にする」ではなく「お客様に選ばれる会社になる」と書き、数字はKRに任せます。
・KRは「やること」でなく「結果」にする:「研修を実施する」より「退職者数を2割減らす」のように、変化を測れる数字にします。
・KRを増やしすぎない:1つのOにつき3つ前後に絞ると、チームで覚えやすく、会話もしやすくなります。
人事部門のOKRでは、採用・育成・定着のどれを一番の課題にするかを経営層と話し合って決めると、会社のOKRとのつながりが明確になります。
OKRを形骸化させないための5つのコツ
OKRが続かない最大の原因は、設定したあとに見返す習慣がなくなることです。
次のポイントを押さえると、定着しやすくなります。
1. 週1回のチェックインを続ける:期末まで放置せず、短い時間でも毎週、進捗と困りごとを確認します。
2. 目標と進捗を全員が見られるようにする:経営層のOKRも含めて公開し、誰でも確認できる状態にします。最初はスプレッドシートなど身近な道具で十分です。
3. 評価・昇給とは切り離す:未達が処遇に響くと、社員は低い目標を選ぶようになります。評価では、結果よりも「目標に向けてどう考え、動いたか」のプロセスに目を向けましょう。
4. トップダウンだけで決めない:経営層が決めた目標を一方的に渡すと、自分ごとになりません。現場の声を聞き、本人が納得できる形に調整します。
5. 経営層が先に見せる:社長や役員が自分のOKRと進捗を公開すると、現場も取り組みやすくなります。
こんなときは要注意
・毎回100%達成している → 目標が低すぎるサイン。自信度が5〜6点になるよう上げ直します。
・達成率がいつも2〜3割 → 高すぎて意欲が下がるサイン。目標の難しさを見直します。
・チェックインが数回で止まった → 時間を短くし、「進捗・自信度・困りごと・次の一手」の4点だけに絞って再開します。
人事担当の方は、運用ルールを決める“事務局”の役割を担うことが多くなります。
社員が新しい言葉に戸惑わないよう、簡単な説明会や記入例を用意しておくと安心です。
OKRの導入事例|国内外の企業はどう使っている?
OKRはまずインテルで生まれ、Googleなど海外のIT企業から日本の大企業・成長企業へと広がりました。
大企業の事例ではありますが、運用の工夫は中小企業にも参考になります。

共通しているのは、目標を公開して全員が見られる状態にしていることと、短いサイクルで振り返っていることです。
会社の規模は違っても、この2点は少人数の会社でもそのまま真似できます。
OKRに関するよくある質問(FAQ)
-
A
「Objectives and Key Results」の略で、「目標と主要な成果」という意味です。目指す姿(O)と、それを測る数字(KR)をセットで決めます。
-
A
OKRは会社の向かう先をそろえるための仕組みで、評価や報酬とは連動させません。MBOは評価・報酬を決める仕組み、KPIは目標までの進み具合を測る指標です。
-
A
始めたばかりの小規模な会社なら、スプレッドシートなど身近な道具で十分です。対象の人数が増えて運用の手間が大きくなってきた段階で、目標管理ができる人事評価システムなどの導入を検討するとよいでしょう。
まとめ|OKRは「小さく始めて、評価と切り離す」のがコツ
OKRは、目指す姿(O)と測る数字(KR)をセットで決め、短いサイクルで見直すことで、会社・チーム・個人の向きをそろえる目標管理の方法です。
階層が少ない中小企業は、目標をそろえやすく、効果を実感しやすい環境にあります。
・目標は少なく絞り、少し背伸びした水準にする(達成率60〜70%で成功)
・週1回のチェックインで、進み具合と困りごとを確認する
・評価や昇給とは切り離し、挑戦しやすい土台をつくる
・最初は1つの部署や経営層だけで、1四半期試してから広げる
まずは次の四半期に向けて、「会社として今一番大事にしたいことは何か」を経営層と話し合うところから始めてみてください。
【参照元】
リクルートマネジメントソリューションズ|OKRとは? 企業が使う目標管理の手法を、具体例を用いて解説
JMAM|OKRとは?組織力を高める目標設定の手順や運用方法、導入事例などを解説
カオナビ|OKRとは? 【Googleが使う目標管理ツール】KPI・MBOとの違い
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