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日付 2025.12.26 人事実務ノウハウ

労務人事

2026年1月施行「中小受託取引適正化法(通称:取適法)」とは?下請法との違いは?

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取適法

こんにちは!HRマネジメント編集部です。

2026年1月1日、中小受託取引適正化法(通称:取適法)が施行されます。
従来の 下請代金支払遅延等防止法(下請法) をベースに、フリーランス法と並ぶ新たな枠組みとして位置づけられています。

この法律は、これまで

・下請代金支払遅延等防止法(法)
・取適法は下請法改正。フリーランス法は別法として併存
・業務委託における慣習的な運用

など、分断されて理解・運用されてきた「受託取引のルール」を、実態重視で整理・強化するための新たな枠組みです。

特に影響を受けやすいのは、

・人事・HRサービス
・採用代行(RPO)
・人事BPO・業務委託
・制作・IT・コンサルティング領域

といった、「人が動く」「業務範囲が曖昧になりやすい」受託型サービスです。

2026年1月施行「取適法」とは?正式な位置づけと下請法との関係

下請法の運用・対象を見直し、中小規模の受託事業者やフリーランスを含む取引の適正化を目的としています。
製造業中心だった 下請法的な考え方 を、役務提供・業務委託へ適合させる点が大きな特徴です。

具体的には、

・下請法の運用・対象の見直し
・フリーランス・個人事業主を含む受託取引の保護強化
・製造業中心だった「下請法的な考え方」を、役務提供・業務委託へ適合させる

といった方向性が明確に示されています。

単なる名称変更ではなく、「受託取引の考え方そのもの」をアップデートする法制度と理解するのがポイントです。

下請法は資本金要件に依存していたため、業務委託やBPOなどの急増する取引を十分にカバーできませんでした。
取適法は、この「下請法の限界」を補うために制定された法律です。

なぜ今、取適法が必要とされたのか

背景には、以下のような構造変化があります。

・業務委託・BPO・外注取引の急増
・中小企業・個人事業主同士の取引トラブルの増加
・契約上は対等でも、実態として受託側が弱い立場に置かれるケースの増加
・資本金要件に依存する下請法ではカバーしきれない取引の拡大

取適法の大きな特徴は、
「大企業による下請けいじめ」だけでなく、「中小企業間で起きる構造的な不公平」も是正対象としている点です。

2026年1月施行で何が変わる?【実務上の重要ポイント】

① 一方的な価格決定は「明確にNG」へ(JFTC明示)

取適法では、
価格協議の実態がないまま、発注側が一方的に代金を決める取引は、適正性を欠くと判断される可能性が高まります。

公正取引委員会(JFTC)は、

・中小受託事業者が価格協議を求めているのに応じない
・金額を据え置いたまま、合理的な説明をしない

といった行為を、明確な禁止行為として位置づけています。

たとえば、

・「一式◯万円でお願い」
・業務内容が増えても金額は据え置き
・修正、追加対応が“当然”とされている

こうした取引は、
業務内容と対価のバランスが、これまで以上に厳しく問われる時代になります。

② 支払条件・支払方法の厳格化

取適法では、支払方法についても明確な線が引かれています。

JFTCの公表内容によれば、

・手形払い
・電子記録債権
・ファクタリング等、期日までに現金化できない手段

は、原則として認められません。

「資金化はできるが手数料は受託側負担」といった運用も、不適切な取引として問題視される可能性が高いとされています。

③ 振込手数料の押し付けも禁止に

これまで慣習として行われがちだった、

・「振込手数料は御社負担で」
・請求額から手数料を差し引く対応

も、発注者による不当な負担転嫁として禁止対象になります。

金額の大小ではなく、取引条件全体の公平性が問われる点がポイントです。

④ 記録作成・保存義務(2年間)

発注者には、

・契約内容
・支払条件
・実際の支払記録

を、文書または電子データで2年間保存する義務が課されます。

「口頭合意」「チャットだけ」「メールが散在している」といった運用は、リスクが高まると考える必要があります。

⑤ 「業務委託だから自由」は通用しない

取適法では、契約書の名称よりも、実際の取引実態が重視されます。

・発注側の指揮命令が強い
・業務範囲が曖昧なまま運用されている
・長期、専属的な関係になっている

このようなケースでは、取引の適正性だけでなく、労働者性の問題に発展するリスクも否定できません。

⑥ 中小企業同士の取引も対象になる

よくある誤解が、

「うちも相手も中小企業だから関係ない」

という認識です。

取適法では、
受託側が構造的に不利な立場に置かれているかどうかが判断軸になります。

企業規模だけで、対象外になるわけではありません。

面的執行体制の強化|“見られる範囲”が広がる

複数省庁が関与可能に

取適法では、

・公正取引委員会
・中小企業庁

に加え、各業界の所管省庁も指導・助言が可能になります。

業界特性を踏まえたチェックが入りやすくなり、
「これまでは見逃されていた慣行」が問題化しやすくなります。

通報者への報復行為への対応強化

・通報を理由とした不利益取扱い
・契約打ち切り、条件悪化

などは、明確に禁止されます。

また、通報窓口として所管大臣の窓口が新設されており、トラブルが表に出やすい仕組みになっています。

【補足】物流領域も対象に|特定運送委託の追加

取適法では、新たに
発荷主 → 運送事業者間の委託取引(特定運送委託)も対象に含まれます。

・運賃の一方的な据え置き
・コスト上昇を無視した条件設定

などは、是正対象となります。

これは物流に限らず、
役務提供型委託全体に共通する考え方と捉えるべきポイントです。

まとめ|取適法は「健全な取引」を後押しする法律

・2026年1月1日施行
・受託取引の曖昧さを是正するための新たな法制度
・JFTCが具体的な禁止行為・義務を明示
・人事・HR・業務委託領域への影響は特に大きい
・専門性や業務価値が、正当に評価される流れを後押しする

取適法は取引を縛るための法律ではなく、「ちゃんとしたサービスが選ばれる環境」を整える法律と言えるでしょう。

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取適法の施行により、
採用代行や人事業務委託においても
契約内容と実際の運用を整理し、業務範囲や役割を明確にすることが
これまで以上に重要になっています。

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