みなさん、こんにちは!
HRマネジメント編集部です。
従業員が退職する際、会社側では退職日の確認や業務の引き継ぎに加え、社会保険・雇用保険の資格喪失手続き、税務・住民税関係の処理、退職者への書類交付など、複数の対応が必要です。
手続きごとに提出先や期限、必要となる条件が異なります。対応を後回しにすると、届出の遅れや書類の交付漏れにつながるおそれがあります。
特に人事・労務担当者が少ない企業では、担当者の経験や記憶に頼らず、手順と期限を一覧で管理することが重要です。
この記事では、退職手続きで会社側が行うことを、退職の申し出から退職後の事務処理まで順を追って解説します。
なお、必要書類や手続きは、雇用形態、加入している保険、退職者の希望、退職理由などによって異なります。個別のケースでは、各制度の窓口が公表する最新情報を確認してください。
退職手続きで会社側が対応すること一覧

退職手続きの流れを会社側の視点で解説
1.退職の申し出を受け、退職日を確認する
退職の申し出を受けたら、退職の意思、希望する退職日、退職理由、最終出勤日などを確認します。
退職日と最終出勤日は必ずしも同じではありません。有給休暇の取得や休職などがある場合は、雇用契約上の退職日を明確にしておきましょう。
退職届や社内申請書の提出を求める場合は、就業規則など自社のルールに沿って案内します。
退職理由は、雇用保険の離職手続きにも関係するため、本人の申告内容と会社側の認識を整理し、事実に基づいて記録してください。
2.退職日までに引き継ぎ・貸与品返却などを進める
担当業務、進行中の案件、取引先、社内システム、保管資料などを確認し、引き継ぎ先と完了予定日を決めます。
会社貸与のパソコン、スマートフォン、社員証、鍵、制服などの返却方法も案内しましょう。
あわせて、最終給与、未払い賃金、立替経費、通勤手当などの精算を確認します。
退職に伴う賃金や金品の返還について労働者から請求があった場合には、労働基準法第23条の適用関係を確認し、法定の期限に沿って対応する必要があります。
すべての支払いが一律に「退職後7日以内」となるわけではないため、請求内容と支払対象を確認してください。
3.社会保険の資格喪失手続きを行う
健康保険・厚生年金保険の被保険者が退職などにより資格を喪失した場合、会社は原則として「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」を提出します。
一般的な退職では、資格喪失日は退職日の翌日です。例えば、10月31日退職の場合、通常の資格喪失日は11月1日となります。
資格喪失届の提出期限は、原則として事実発生から5日以内です。
提出先や提出方法は加入制度や事業所の適用状況により異なるため、日本年金機構や加入する健康保険組合などの案内を確認してください。
健康保険証や資格確認書などの返却が必要かどうかは、加入先や交付されている書類によって異なります。
マイナンバーカードそのものを会社が回収するという案内にならないよう注意し、対象となる書類と返却先を個別に確認してください。
4.雇用保険の資格喪失手続きを行う
雇用保険の被保険者が退職した場合、会社は原則として「雇用保険被保険者資格喪失届」をハローワークへ提出します。
提出期限は、被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内です。資格喪失日は退職日や雇用関係の終了状況に基づいて確認します。
退職者が離職票を希望している場合などは、「雇用保険被保険者離職証明書」の作成・提出が必要になります。
離職理由や賃金支払状況などを記載するため、勤怠記録、賃金台帳、出勤簿、退職理由に関する資料を準備してください。
離職理由は失業等給付の判断に関係するため、事実と資料に基づき正確に記載します。
離職票は、会社が直接作成して交付する書類ではなく、会社側の届出を経てハローワークから交付される書類です。
必要な手続きや提出資料は、ハローワークの最新案内で確認してください。
5.源泉徴収票など税務関係の書類を交付する
給与等を支払った会社は、退職者に対して給与所得の源泉徴収票を交付します。
中途退職者への交付期限は、原則として退職後1か月以内です。
記載内容に誤りがないか確認し、退職者へ確実に交付できるよう手配します。
源泉徴収票は、退職後に転職先で年末調整を受ける場合や、確定申告を行う場合などに使用されます。
住所変更などがある場合の送付方法も確認しておくとよいでしょう。
6.住民税の徴収方法・異動手続きを確認する
住民税を給与から特別徴収している従業員が退職する場合は、残額の徴収方法や退職後の納付方法を確認し、市区町村への給与所得者異動届出書などの提出が必要かを確認します。
退職時期や次の勤務先の有無などによって、最後の給与・退職手当からの一括徴収、普通徴収への切り替え、転職先での特別徴収継続など、扱いが異なることがあります。
提出期限や様式は自治体の案内に従ってください。一般的な期限だけを一律に適用せず、対象となる市区町村の最新案内で確認することが重要です。
7.退職証明書など、本人から請求された書類に対応する
退職証明書は、労働者から請求があった場合に会社が交付する書類です。
労働基準法第22条に基づき、使用期間、業務の種類、地位、賃金、退職の事由など、本人が請求した事項について遅滞なく交付します。
本人が請求していない事項を記載しないよう注意してください。
退職証明書と離職票は用途が異なります。退職証明書は会社が作成・交付する証明書であり、離職票は雇用保険の手続きに関係する書類です。
退職者が必要としている書類を確認し、適切に案内しましょう。
退職手続きに必要な書類と提出期限

※表は一般的なケースを整理したものです。加入制度、退職理由、退職者の希望、自治体の運用などにより必要な手続きが異なります。
会社側が退職手続きを進める際の注意点
退職日と資格喪失日を混同しない
退職日と社会保険の資格喪失日は、通常は同じ日ではありません。
一般的な退職では資格喪失日は退職日の翌日となるため、届出の基準日を誤らないようにしましょう。
離職理由は事実に基づいて記載する
雇用保険の離職手続きでは、離職理由や賃金支払状況などの情報が重要になります。
本人の申告と会社の認識が異なる場合も、資料を確認し、会社側の判断だけで一方的に記載しないことが大切です。
退職者へ渡す書類と行政へ提出する書類を分けて管理する
源泉徴収票や退職証明書のように退職者へ交付する書類と、資格喪失届や異動届のように行政機関へ提出する書類では、提出先も期限も異なります。
書類ごとに担当者・期限・交付方法を管理しましょう。
住民税や健康保険関係は個別条件を確認する
住民税の徴収方法や自治体への届出、健康保険関係の返却書類は、退職時期、加入制度、交付されている書類などによって異なることがあります。
「必ずこの書類を回収する」「すべて同じ期限」と決めつけず、対象の窓口や保険者の案内を確認してください。
賃金の精算期限を一律に決めつけない
労働基準法第23条は、退職した労働者から請求があった場合の賃金その他の金品の返還について定めています。
すべての給与や精算金が無条件に同じ期限で支払われると説明するのではなく、請求の有無、支払対象、通常の賃金支払日などを踏まえて確認しましょう。
人事・労務担当者の負担を減らす方法
手続きの流れと担当者を標準化する
退職申し出から退職後の届出までを整理し、各段階の担当者を明確にします。
例えば、上長は退職申し出と引き継ぎ、人事・労務は資格喪失届や書類交付、給与担当は最終給与・住民税、情報システム担当はアカウント停止を担うなど、実際の組織に合わせて役割を分けます。
兼任が多い企業でも、作業担当者と最終確認者を決めると対応漏れを見つけやすくなります。
書類や期限を一覧管理する
退職者ごとに必要な手続き、提出先、期限、担当者、完了日を一覧で管理します。
表計算ソフトや人事労務システムを活用し、期限が近い手続きを見える化すると、複数人で進捗を共有しやすくなります。
個人情報を扱うため、アクセス権限と保管場所も適切に設定しましょう。
マニュアルを作成し、属人化を防ぐ
マニュアルには、手続きが必要となる条件、提出先・期限、必要書類、退職者の状況による分岐、担当者と確認者、参照する公的機関の案内、完了後の記録方法を記載します。
法令や行政手続きの変更に備え、更新担当者と見直し時期も決めておきましょう。
人員や専門知識が不足する場合は外部支援を検討する
人事・労務担当者が少ない企業では、採用、勤怠管理、給与計算、社会保険関連の事務などを限られた人数で担い、退職が重なる時期に対応が難しくなることがあります。
社内で対応する業務と外部支援を検討する業務を整理することも選択肢です。
退職手続きに関するよくある質問
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A
一般的な退職では、資格喪失日は退職日の翌日です。例えば10月31日退職の場合、通常は11月1日が資格喪失日となります。個別事情がある場合は、日本年金機構や加入先保険者の案内を確認してください。
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A
離職票は、会社が必要な届出・離職証明書の提出などを行った後、ハローワークの手続きを経て交付される書類です。退職者が必要としているかを早めに確認し、必要な資料を準備しましょう。
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A
退職証明書は、労働者から請求があった場合に会社が遅滞なく交付するものです。本人が請求した事項に限って記載し、請求されていない事項を記載しないよう注意してください。
中途退職者への給与所得の源泉徴収票は、原則として退職後1か月以内に交付します。交付漏れがないよう、退職者ごとに発送日や交付状況を管理しましょう。
まとめ|退職手続きは会社側で期限と対応範囲を整理しよう
退職手続きでは、退職の申し出を受けた段階から退職日までの準備を進め、退職後には社会保険・雇用保険の資格喪失届や源泉徴収票などの必要書類を適切に取り扱うことが重要です。
・期限を管理する:社会保険・雇用保険の届出や源泉徴収票の交付など、手続きごとの期限を確認する。
・必要書類を整理する:退職者の状況や希望に応じて、提出・交付が必要な書類を確認する。
・業務を標準化する:チェックリストやマニュアルを活用し、担当者による対応のばらつきや属人化を防ぐ。
退職手続きは、書類を提出すれば終わりではありません。退職者への対応、給与計算、行政への届出、社内情報の更新まで、複数の業務を連携させる必要があります。
自社の退職手続きの流れや管理体制を確認し、誰が担当しても正確に対応できる仕組みを整えていきましょう。
【参照元】
jinjer|退職手続きで会社側はいつまでに何をする?手続き一覧と流れをくわしく解説
freee|退職手続きの流れは?従業員側・会社側でそれぞれ必要な対応を解説
日本年金機構|健康保険・厚生年金保険の資格喪失手続き
厚生労働省
ハローワークインターネットサービス
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