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日付 2026.5.14 人事実務ノウハウ NEW

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静かな退職とは?企業が直面する原因と具体的な対策

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静かな退職とは?

こんにちは!HRマネジメント編集部です。

近年、人事担当者や経営層の間で「静かな退職」という言葉が急速に注目を集めています。

表面的な離職は増えていないにもかかわらず、組織内部ではモチベーション低下や主体性の欠如といった“見えない問題”が広がっているためです。

この背景には、単なる働き方の変化だけでなく、従業員の価値観そのものの変化があります。
パーソル総合研究所の調査によると、「働くことを通じた成長が重要」と考える正社員の割合は初めて7割を下回り、過去最低を更新しました。
かつて主流だった「成長したい」という意欲は、確実に低下しています。

つまり、静かな退職は一過性のトレンドではなく、人材観・仕事観の変化が引き起こした構造的な問題です。
本記事では、静かな退職の本質を人事視点で解説し、組織として取り組むべき具体的な対策まで体系的に整理します。

静かな退職(Quiet Quitting)とは

定義と背景

静かな退職とは、従業員が契約上求められる業務のみをこなし、それ以上の努力やコミットメントを行わない働き方を指します。

・退職はしない
・仕事もこなす
・しかし「それ以上はやらない」

という状態です。
この概念はSNS発祥ですが、日本でも急速に浸透しています。特に、「仕事に人生を捧げない」という価値観の広がりが背景にあります。

実際の退職や怠慢との違い

静かな退職

重要なのは、静かな退職は「問題行動として表面化しにくい」ことです。

従業員のメリット・デメリット

メリット

・ワークライフバランスの確保
・ストレス軽減

デメリット

・キャリア停滞
・評価低下
・学習・成長機会の減少

特に重要なのは、学ばなくなるリスクです。実際に「自己啓発をしていない正社員」は53.6%と過去最高となっています。

静かな退職が企業にもたらす影響

生産性低下・組織の低体温化

静かな退職の本質は「努力の放棄」ではなく、期待値以上の価値創出の停止です。

・改善提案が出ない
・主体性が失われる
・業務が形骸化する

結果として、組織全体が「低体温化」していきます。

負担の偏りと優秀人材の離脱

    静かな退職者が増えると、

    ・意欲ある社員に業務が集中
    ・不公平感が生まれる
    ・ハイパフォーマーが疲弊・離職

    という負の連鎖が起きます。

    イノベーションの停止

    発言・挑戦・提案が減少することで、

    ・新規事業が生まれない
    ・改善文化が消える
    ・「現状維持企業」になる

    というリスクがあります。

    従業員が静かな退職を選ぶ主な原因

    ここで重要なのが、「原因は個人ではなく組織構造にある」という点です。

    ① 評価への不信

    若手を中心に、

    ・成果が評価されない
    ・年功序列が残っている

    という不満が強まっています。
    実際に20代では「個人の成果で評価されない」が転職理由の上位に入っています。

    ② 成長意欲の低下(重要ポイント)

    最も注目すべき変化はここです。

    ・成長を重視する人:68.8%(過去最低)
    ・5年間で13.3ポイント低下

    さらに、成長の中身も変化しています。

    昔:
    市場価値を高めたい
    スキルを伸ばしたい

    現在:
    業務をうまく回せるようになりたい
    周囲とうまくやりたい

    つまり、成長が「目的」から「手段」に変わったと言えます。
    これにより、過剰に働く理由が消失しています。

    ③ ワークライフバランス志向

    ・残業回避
    ・プライベート優先
    ・過剰適応しない

    これはZ世代だけでなく、全世代に広がっています。

    ④ 信頼関係の欠如

    ・上司と話せない
    ・意見が通らない
    ・何のために働くか分からない

    → 結果:心理的離脱(=静かな退職)

    ⑤ 人材の多様化(構造要因)

    調査では、女性・シニア層で割合が高いとされています。
    理由は、

    ・育児・介護との両立
    ・働き方制約

    やる気ではなく“制約”で起きているケースも多いと言えます。
    これは人事にとって極めて重要な視点です。

    静かな退職の「質」は変化している

    特に重要なのがここです。
    静かな退職は単一ではなく、3タイプに分類されます。

    ・戦略型:成果も幸福も高い
    ・割り切り方:成果高・満足低
    ・無気力型:成果低・満足低

    問題は、
    無気力型が29.3% → 41.8%に急増
    つまり今起きているのは、

    効率志向ではなく「やる気喪失」へのシフトです。

    静かな退職の兆候

    ・業務範囲外を拒否
    ・会議で発言しない
    ・定時退社の徹底
    ・学習や自己成長の停止

    特に「学ばなくなる」は重要な危険信号です。

    企業が取り組むべき対策

    ① 評価制度の再設計

    ・成果と報酬の連動
    ・プロセス評価の可視化
    ・納得感のあるフィードバック

    → 若手は「公平性」に非常に敏感

    ② 1on1の質の改善

    単なる面談ではなく、

    ・キャリア視点の対話
    ・感情の言語化
    ・本音の引き出し

    が重要です。

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    ③ 挑戦機会の設計(重要)

    調査から明確なのは、
    処遇改善だけでは足りない

    必要なのは

    ・新しい業務機会
    ・裁量のある仕事
    ・副業・越境機会

    特に20代男性では、

    ・「挑戦したい」
    ・「早く成長したい」

    という動きも見られています。

    ④ 学習・成長の再設計

    ・リスキリング支援
    ・業務内学習の設計
    ・時間確保

    →「学ばない構造」を壊す必要がある

    ⑤ 働く意味の再定義

    最大の核心です。
    今起きているのは、
    → 「なぜ働くのか」が変わったこと

    企業は

    ・社会的意義
    ・個人の価値実現
    ・キャリアの接続

    を示す必要があります。

    まとめ(人事向けアクション)

    ・静かな退職は構造問題であり個人の問題ではない
    ・成長意欲の低下が最も大きな背景
    ・「やる気のある人を増やす」ではなく「やる気が下がる構造を直す」ことが重要
    ・無気力型の増加が最重要リスク
    ・対策は「評価・対話・機会設計・意味付け」の4点

    これからの人事に求められるのは、「働かせる」ことではなく、 “働く意味を設計すること”です。
    静かな退職は、組織からの静かな警告でもあります。
    この変化を正しく捉えた企業だけが、これからの人材獲得・定着競争を勝ち抜くことができるでしょう。

    HRマネジメント では、
    採用支援、制度設計、研修、人事労務サポートを通じて、
    企業の「働きやすい組織づくり」と「人材の活躍基盤」を総合的に支援しています。

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    【参照元】
    Yahoo!ニュース|「静かな退職」はなぜ増えたのか 10年データで見えた働き方の変化
    リクルートマネジメントソリューションズ|静かな退職(クワイエット・クィッティング)とは? 企業のリスクや対処方法を解説

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