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“週3〜4日勤務”を選べる会社が増えている理由——エヌエヌ生命・ビースタイルの導入事例に学ぶ

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こんにちは!HRマネジメント編集部です。

2026年6月、生命保険会社のエヌエヌ生命保険が「週3日または週4日勤務を選べる制度」のパイロット運用を開始したというニュースが、人事業界で話題になりました。
時を同じくして、主婦層の就業支援を長年手がけるビースタイルグループも、2026年4月から全グループ会社で勤務日数を週3〜5日から選べる「短日数勤務制」を導入しています。

「フルタイムで週5日出社できる人しか正社員になれない。」この当たり前とされてきた前提が、崩れ始めています。
選択的勤務日数制度とは、週の勤務日数を社員本人が自分のライフステージや事情に応じて選べる制度のこと。
一律に休日を増やす「週休3日制」とは異なり、勤務日数に応じて勤務時間や報酬も個人単位で調整しながら、働き方をカスタマイズできる点が特徴です。

もし自社が「フルタイム前提」の採用条件のまま人材獲得競争に挑み続けたら、どうなるでしょうか。
採用できる人材の母数は、労働力人口の減少とともにこれからも縮み続けます。
本記事では、先行する2社の制度設計を手がかりに、この動きの背景と、人事が今向き合うべき実務課題を解説します!

「フルタイム=正社員」という前提そのものが揺らいでいる

多くの企業では、「正社員として働く=週5日フルタイムで働く」ことが半ば当然の前提として運用されてきました。

しかし、選択的勤務日数制度が示しているのは、雇用形態(正社員かどうか)と働き方(何日・何時間働くか)を切り離して考えるという発想の転換です。この前提が変わりつつある背景には、3つの構造的な要因があります。

労働力人口の減少と、採用できる人の母数そのものの縮小

少子高齢化により、企業は「採用できる人の母数」自体が減っていく時代に入っています。

フルタイム勤務を前提とした求人条件では応募が集まりにくくなる一方、勤務日数や時間の制約を理由に就業をあきらめていた層(育児中の社員、介護と両立する社員、体調に配慮が必要な社員など)を取り込めれば、採用のパイを広げることができます。

「両立」を前提とした働き方の一般化

共働き世帯は約1,300万世帯に達し、専業主婦世帯の約3倍にまで拡大しているといいます。
加えて2026年4月からは、「治療と仕事の両立支援」を事業主の努力義務とする法改正も施行されました。
育児・介護に限らず、病気治療やシニア層の就業継続まで視野に入れた両立支援が、今後の人事施策の主戦場になりつつあります。

グローバル基準の「柔軟な働き方」が国内にも波及

エヌエヌ生命保険の親会社であるNNグループの本拠地・オランダでは、勤務日数や勤務時間を柔軟に選ぶ働き方がすでに広く浸透しています。

こうしたグローバルな知見が日本法人にも波及し、「まずは試してみる」という形での制度導入が始まっています。

導入企業に見る、制度のリアルな中身

事例1:エヌエヌ生命保険「選択的勤務日数制度」(2026年6月〜パイロット運用)

エヌエヌ生命保険は2026年6月から12月まで、週3日または週4日勤務を選べる制度をパイロット運用しています。特徴的なのは、いきなり本格導入するのではなく、まず半年間の試行期間を設けて検証するという進め方です。

制度の骨子

・勤務日数は週3日または週4日(曜日は固定)
・対象は、一定の勤続年数や業務要件を満たし、所属部署と会社の承認を得た正社員
・報酬・賞与は、選択した勤務日数に応じて調整
・社会保険は、フルタイム勤務時と同様に適用

制度を「完成形」でいきなり出すのではなく、半年間の運用実績を見ながら本格導入の是非を判断する——このステップを踏むこと自体が、社内の納得感を醸成するうえで重要な意味を持ちます。

事例2:ビースタイルグループ「短日数勤務制」(2026年4月〜全社導入)

ビースタイルグループは2026年4月から全グループ会社で「短日数勤務制」を導入しました。
こちらはエヌエヌ生命よりも一歩踏み込んだ設計で、勤務日数だけでなく勤務時間、さらにはフレックスタイム制(同社では「オクトワーク」と呼称)まで組み合わせられる点が特徴です。

具体的な組み合わせ例

・週3日×6時間勤務
・週4日×8時間勤務
・週5日×7時間勤務
・5時〜22時の間で勤務時間を柔軟に調整
・業務の合間に中抜けして、育児・介護・通院等に対応することも可能

「勤務日数や勤務時間の制約によって正社員として働き続けることが難しい」という課題に真正面から向き合ったこの設計は、選択的勤務日数制度が単独の福利厚生策ではなく、採用力・定着力そのものを左右する経営課題として位置づけられ始めていることを物語っています。

制度を導入しても「機能しない」企業に共通する2つの落とし穴

選択的勤務日数制度は魅力的な打ち手である一方、設計を誤ると現場に混乱を招くだけの制度になりかねません。特に注意すべきは、次の2点です。

① 評価・報酬制度が「フルタイム前提」のまま放置されている

勤務日数が減れば、報酬や賞与をどう調整するかというルールが必要です。
しかし評価制度そのものが「フルタイム勤務」を前提に組まれたまま運用してしまうと、勤務日数を選択した社員が正当に評価されず、不公平感やモチベーション低下を招くリスクがあります。

② 対象者の線引きが曖昧で、社内に不公平感が生まれる

「勤続年数や業務要件、上長・会社の承認」といった条件を設けるのか、それとも全社員を対象にするのか。
この線引きが曖昧なまま制度だけが先行すると、「なぜあの人だけ選べるのか」という不満が現場にくすぶり続けることになります。

選択的勤務日数制度を”機能させる”ための3つの実務ポイント

制度を単なる話題づくりで終わらせず、採用力・定着力の向上につなげるために、人事が押さえておくべき実務ポイントを整理します。

① 報酬・評価の調整ルールを先に固める

エヌエヌ生命の事例のように「選択した勤務日数に応じて支給額を調整する」というルールをあらかじめ明確にしておくことが、制度導入後のトラブルを防ぐ最も基本的な防衛策です。

② 勤怠管理・社会保険の適用ラインを事前にチェックする

勤務日数や勤務時間が社員ごとに異なる状態は、勤怠管理システムや給与計算のルールを複雑にします。
社会保険の適用要件(週の所定労働時間・日数)を下回らないよう、制度設計の段階で労務担当と法令上のラインを確認しておく必要があります。

③ まずは小さく試し、運用しながら改善する

エヌエヌ生命のように、半年程度のパイロット期間を設けて効果を検証してから本格導入を判断するアプローチは、リスクを抑えながら社内の理解を得ていくうえで有効です。
「制度を作って終わり」ではなく、運用しながら改善していく前提で設計するのが現実的でしょう。

よくある質問と回答(FAQ)

  • A

    週休3日制は会社単位・一定条件での休日設計であるのに対し、選択的勤務日数制度は社員個人が週3〜5日の中から勤務日数を自分で選べる制度です。育児・介護・治療・副業など、理由を問わずに選択できる設計になっているケースが多いのも特徴です。

  • A

    多くの導入企業では、選択した勤務日数に応じて報酬・賞与を調整する仕組みを採用しています。一方で社会保険は、週の所定労働時間・日数が一定の基準を満たしていればフルタイム勤務時と同様に適用されるのが一般的です。適用ラインを下回らないよう、事前の確認が欠かせません。

  • A

    どちらも選択肢としてありますが、条件を設ける場合は「勤続年数」「業務要件」「上長・会社の承認」など、線引きの基準を事前に明文化しておく必要があります。基準が曖昧なまま制度だけ先行すると、社内に不公平感が生まれやすくなります。

  • A

    出社日数が減る社員が増えると「誰かが不在の日」が発生しやすくなります。チーム単位での業務の見える化や、引き継ぎルールの整備をあらかじめ進めておくことが、現場の負担偏りを防ぐポイントです。

  • A

    エヌエヌ生命保険のように、まず数カ月〜半年程度のパイロット運用で効果を検証してから本格導入を判断する進め方が現実的です。「制度を作って終わり」ではなく、運用しながら改善していく前提で設計すると、社内の納得感も得やすくなります。

まとめ

選択的勤務日数制度は、単に「休みを増やす」施策ではありません。育児・介護・治療・学び直し・副業など、社員が抱える事情は一人ひとり異なります。
その多様な事情に、画一的なフルタイム勤務という枠組みだけで応え続けることには、そろそろ限界が見え始めているのかもしれません。

人手不足が構造的な課題となる中、この変化を「一部の先進企業だけの取り組み」として静観するか、それとも「まずは小さく試す」自社の一手として動き出すか?その判断が、数年後の採用力・定着力の差につながっていくはずです。

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【参照元】
エヌエヌ生命|多様な働き方の実現に向け週3日・週4日勤務を選択できる「選択的勤務日数制度」を試行開始
ビースタイル|ビースタイル、週休3~4日も選べる短日数勤務制を導入 日数・時間の選択肢を拡張

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