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【アンケート調査結果】全体・経営者・従業員の三層比較から見える“エンゲージメント構造”

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価値観調査

こんにちは!HRマネジメント編集部です。

今回、展示会参加者および自社社員を対象に、 4択形式のアンケート調査を実施しました。

テーマは、組織運営における永続的な問いである「会社で長く働きたいと思える理由は?」。
会社で長く働きたいと感じるために、欠かせない要素について調査を行いました。

HR領域では「定着理由(Retaining Factors)」の把握は、
採用計画・人材育成・組織開発(OD)などあらゆる施策の基礎データとなります。

今回の調査では、

・回答者全体(All)
・経営者
・従業員

という“組織の三層”の価値観を比較することで、組織内の認識ギャップを可視化することができました。

調査概要

調査対象:ビジネスパーソン(経営者・従業員)174名
調査方法:展示会参加者+自社社員によるアンケート(4択形式)
調査主体:株式会社HRマネジメント

アンケート結果

※写真は展示会参加者によるリアル投票(シール集計)の結果です。その他の集計は、全回答者(展示会参加者+自社社員)174名を対象としたアンケート結果に基づいています。

調査結果サマリー

<回答者全体の傾向(All)>

・全体では「職場環境・人間関係」が54.0%で最多回答。
・「会社のビジョン」「給与・福利厚生」がほぼ同水準となり、定着理由の二軸を形成。
・ 組織全体としては、“環境”と“方向性”の両輪で定着が支えられている構造が示唆された。

<経営者の定着理由>

・経営者の約半数が「会社のビジョン」を最重要項目として選択。
・MVVや中期経営計画など、組織の方向性づくりに携わる立場として、理念・ビジョンを定着要因として重視。
・従業員との間に、“理念重視 vs. 環境重視”という認識のズレが見られた。

<従業員の定着理由>

・ 従業員の約6割が「職場環境・人間関係」を最も重要な定着理由として回答。
・定着の判断基準は、上司・同僚との関係性やチームの空気感など、日々の“働く環境の質”に集中。
・「教育・サポート体制」を重要視する割合は少なく、従業員はより目の前の環境を重視する傾向が明確。

回答者全体(All)の傾向

result_ALL

全体の数値は

・人間関係・環境(54.0%)
・会社のビジョン(21.3%)
・給与・福利厚生(20.7%)

と、従業員の傾向に寄りつつも、ややバランスの取れた結果になりました。

組織全体としては、“人間関係・環境”と“理念・方向性”が
ほぼ同じくらいの重要性を持つ二軸であることが確認できます。

経営者の定着理由

result_executive

経営者層では、約半数が「会社のビジョン」を最重要項目として選択した結果が出ました。

経営者は日々、

・MVV(Mission / Vision / Value)の策定・発信
・中期経営計画や経営戦略の立案
・組織文化(カルチャー)の方向性づけ

といった、“未来の組織をつくる仕事”に多くの時間を割いています。

そのため、
「組織に共通言語があること」=定着要因
という認識が強く現れています。

これは「理念浸透」を重視する近年の経営トレンドにも沿っています。

一方で従業員側とは大きく乖離しており、経営者が重要だと捉えるビジョン要素が
従業員には定着理由として強く認識されていない点には注意が必要です。

従業員の定着理由

result_employee

従業員の60.2%が「職場環境・人間関係」を最多回答としています。

これはGoogleの研究で知られる「Psychological Safety(心理的安全性)」がパフォーマンス・定着率に最も影響するという知見にも合致します。

従業員側にとっては、

・上司との関係性
・チーム内コミュニケーション
・感情面の安心感

といった関係性資本が、働き続けるかどうかを左右する主要因になっていることが読み取れます。

今回の調査では「教育・サポート体制」を定着理由として選ぶ従業員は3.9%と少数派でした。
しかし、これは 教育そのものの重要性が低い わけではありません。

参考までに、Indeedが実施した「労働者のスキルに関する日米調査」では、日本の労働者の 29.3%が“スキルを習得したいと思わない” と回答。米国3.7%と比較しても、日本では“学ばない”傾向が強く出ています。

日本では、

・学びたいスキルが曖昧(ソフトスキル中心)
・何を学べば良いか分からない
・学習機会が企業側から提供されない(「支援なし」22.7%)
・逆に「従業員に委ねられている」企業が最多(29.3%)

という構造が見られ、

“学習の重要性”と“実際に学ぶ行動”の間に大きなギャップ が存在しています。

今回の結果で従業員の関心が「環境」に集中したのも、こうした日本全体の傾向と整合しており、
従業員自身が学習行動に踏み出せない状況では、教育施策そのものが定着理由として認知されにくいと考えられます。

データから見えた「組織課題」と「HR施策の方向性」

課題①:経営者と従業員の価値観ギャップ

経営者は 「組織の方向性」
従業員は 「日常の関係性」を重視しており、ここに構造的な差が生じています。

▼推奨施策:エンゲージメントブリッジ施策

・MVV浸透と1on1を組み合わせる
・マネージャー層へのコミュニケーション研修
・リレーション改善を目的としたチームビルディング

課題②:理念浸透施策の“従業員側の受け皿”不足

従業員が人間関係を重視する以上、ビジョン浸透施策だけを推進しても効果が限定的になります。

▼ 推奨施策:ミドル層育成

・評価者研修
・1on1スキルアップ
・心理的安全性を高めるマネジメント教育

 課題③:給与・福利厚生は“基礎条件”化している

全体で20%前後に留まり、
“ある程度満たされている前提”で、それ以上の差別化要因になっていない可能性もあります。

▼推奨施策:基礎制度の再整備+従業員の見える化

・等級制度・報酬制度の透明性向上
・福利厚生の利用率可視化
・従業員が「実感しやすい制度設計」

まとめ

今回の調査結果は、以下の示唆を提供しています。

・ 経営者は「ビジョン・理念」を重視
・ 従業員の定着理由は「心理的安全性」が中心
・ 組織開発では、このギャップをつなぐ施策設計が重要

特に、ミドルマネジメントの育成MVVの“現場レベル”への翻訳は、多くの組織で今後の鍵となる領域です。

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