みなさん、こんにちは!
HRマネジメント編集部です。
2026年に向けて、人事の法令対応は「待ったなし」です。
特に押さえるべきは、ハラスメント対策の強化と女性活躍推進法の義務拡大。
これらは単なる法令遵守にとどまらず、採用競争力・従業員エンゲージメント・企業ブランドに直結するテーマです。
本記事では、改正の要点と実務対応を、人事視点でわかりやすく整理します。
「ハラスメント対策・女性活躍推進法」改正のポイント
● カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義務化
顧客・取引先・施設利用者などの言動が社会通念上許容される範囲を超え、従業員の就業環境を害する行為への予防・対応措置が事業主に義務化されます。
国が実施指針を示し、方針の明確化・相談体制の整備・迅速かつ適切な事後対応・抑止策の整備が求められます。
施行は2025年6月11日公布から1年6か月以内の政令で定める日(=遅くとも2026年末頃までに施行見込み)。
● 求職者へのセクシュアルハラスメント(セクハラ)防止措置義務化
就活生・インターンシップ生など求職者等も明確に保護対象に。
採用・面談の運用ルール化、相談窓口、事後対応の整備が必要です。
人事は「選考現場」を重点管理領域として扱い、面談の設営・同席者・接触ルールまで具体化しましょう。
● 女性活躍推進法の延長と「情報公表義務」の拡大
女性活躍推進法の有効期限は2036年3月31日まで延長。
加えて、従業員101人以上の企業には「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が義務化され、施行は2026年4月1日です。規模に応じて選択公表項目(女性採用比率、男女別育休取得率、月平均残業など)の追加公表も必要になります。
● プラチナえるぼし認定要件の追加
「プラチナえるぼし」認定要件に、求職者等へのセクハラ防止措置の公表が追加されます。
省令整備で一定の猶予が予定されているものの、認定維持・新規取得を目指す企業は早めの対応が望まれます。
人事が直ちに着手すべき6つのポイント
(1)カスハラ基本方針の策定・周知
定義と線引き:暴行・脅迫・正当理由のない過度要求等、例示を明文化。
対応フロー:現場一次対応→人事・法務連携→安全確保→事実確認→再発防止。
周知・研修:フロント職、店舗、コールセンター、現場管理者に重点研修。
→ 国の指針で示される枠に沿って標準化すると運用負担が軽くなります。
(2)採用・面談のセクハラ防止ルール整備
面談設営:オープンな会議室、ガラス面の可視化、録音/録画ルールの確認。
同席者ルール:単独面談の回避、男女バランスへの配慮。
接触・連絡ルール:連絡手段の限定、SNSでの私的接触禁止、緊急時例外の定義。
相談窓口:応募者にもわかる掲載位置(募集要項・案内メール)で提示。
→「選考現場の見える化」が最も効く実務対策です。
(3)相談体制と初動対応SOPの明文化
複数経路:上司・人事・匿名窓口・外部ホットライン。
初動24–48時間ルール:事実確認、必要な休業・配置転換、安全確保の意思決定期限を明記。
二次被害防止:情報アクセス権限の限定、関係者教育。
→ 迅速・適切対応は指針の中核。SOP(標準手順)で運用のブレをなくします。
(4)「男女間賃金差異」「女性管理職比率」のデータ基盤づくり
定義の固定:職種・等級・雇用区分など集計単位を社内標準化。
補助指標:同一職種・同一等級比較、中央値併記で構成差の影響を説明。
監査可能性:算式・範囲・データ抽出手順を文書化して再現性を担保。
→ 有報だけの掲載では義務充足になりません。採用サイト等、求職者が見つけやすい場所での公開が必要です。
(5)選択公表項目の決定と公開ページ設計
項目選定:自社の重点課題に関係する指標(女性採用比率、男女別育休取得率、月平均残業など)を選ぶ。
公開チャネル:コーポレートサイト/採用サイトの専用公開ページ。検索導線(ヘッダーメニュー/サイト内検索)も整備。
更新頻度:少なくとも年次で更新。採用繁忙期の前倒し更新が効果的。
(6)プラチナえるぼしの差分対応
差分の洗い出し:現行の認定要件と新要件(求職者セクハラ防止公表)の差分。
公表ページの整備:採用ルール・相談窓口・事後対応を外部向けに記載。
猶予期間の確認:省令・通知をウォッチし、タイムラインを設計。
→ 認定維持は自社の「外部信頼性KPI」。IR・広報とも連携しましょう。
実務の勘所:「見せ方」と「運用」で差がつく
● 公開の「見つけやすさ」は法令対応の一部
有価証券報告書にのみ記載では義務充足になりません。
求職者等が容易に見つけられるチャネル(採用サイトの「人材・ダイバーシティ情報」)に専用ページを設け、URLのわかりやすさ・SEO対策まで意識しましょう。
● データの「誤認防止」は補助指標で担保
「男女間賃金差異」は、職種構成・等級構成の影響が大きい指標です。
平均のみだと誤解が生まれやすいので、中央値や同一職種・等級比較を併記し、募集・育成・登用の施策とセットで説明します。
● 風土・マネジメントへの介入で「潜在化」を防ぐ
職場ハラスメントは、属人思考・権威主義・対人関係の険悪さが潜在化を招きやすいことが定量調査から示唆されています。
人事は上司マネジメントの一次対応力を鍛え、相談無力感を下げる仕組み(相談しやすい場、傍観を減らす仕掛け)を設計しましょう。
● ベンチマークで「今の位置」を可視化
内閣府の「見える化」サイトなど、公的データで外部比較を取り入れると、自社の「見せ方」「打ち手」の納得感が上がります。業界中央値とのギャップを踏まえ、職種別の登用・育成・評価まで踏み込んだ改善計画を立てましょう。
「ハラスメント対策・女性活躍推進法」改正 よくある質問例:FAQ
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A
厚労省指針で定める算式に従います。基本は「男女別の平均賃金」を比較しますが、職種構成の影響が大きいため、補助指標として中央値や職種別・等級別比較を併記することを推奨します。
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A
いいえ。有報のみでは義務充足になりません。求職者が容易に見つけられる場所(採用サイトやコーポレートサイト)での公開が必要です。
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A
暴行・脅迫・正当理由なき過度要求などが典型例です。グレーゾーン事例は社内Q&A化し、現場判断の負担を軽減しましょう。
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A
求職者へのセクハラ防止措置の公表が追加されます。省令整備で一定の猶予期間が予定されていますが、認定維持を目指す企業は早めの対応が望ましいです。
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A
採用サイトの「ダイバーシティ・女性活躍」ページが最適です。検索導線(ヘッダーリンク・サイト内検索)も整備し、求職者が迷わない設計にしましょう。
-
A
必須ではありませんが、匿名対応を可能にすることで相談ハードルが下がり、潜在化防止に有効です。外部窓口の併設も検討しましょう。
-
A
むしろ逆です。透明性の高い情報公開は求職者の信頼を獲得し、採用競争力を高めます。改善計画とセットで公開することで、企業の前向きな姿勢を示せます。
まとめ:守りと攻めの“両利き”で臨む
今回の改正は、「守り(ハラスメント予防・被害者保護)」と「攻め(女性活躍の見える化・採用競争力)」の両方を求めています。
人事は、指針準拠の最低ラインを確実に押さえつつ、データの質・公開の見やすさ・風土改革・上司マネジメントまで統合した戦略的人事へと進化させる好機です。
有報以外の公開チャネル、補助指標による誤認防止、相談の初動SOP、ベンチマークの外部目線——この4点を押さえれば、法令対応と採用力の双方で差がつきます。
HRマネジメントでは、
労務リスクの未然防止を軸にしたコンサルティングを提供し、
企業の実情に合わせた制度設計と運用体制づくりをサポートしています。
「どこから手をつければいいか分からない」
「自社の運用が法改正に対応できているか不安」
そんな企業さまは、ぜひ一度ご相談ください。
【参照元】
厚生労働省|「女性活躍推進法特集ページ」
厚生労働省|「ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内」
パーソル総合研究所|「2026年版 人事が知っておきたい法改正のポイント」
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