みなさん、こんにちは!
HRマネジメント編集部です。
4月の入社初日に「退職代行」を利用して会社を辞めるケースが話題になる中、「休職代行」という新たなサービスが注目を集めています。
メンタル不調などを理由に休職したいものの、会社に直接言い出せない本人に代わって、休職の意思伝達や手続きを支援するサービスです。
一見すると、退職代行の延長線上にあるサービスのようにも見えますが、人事・労務の視点で見ると、示唆するものは決して小さくありません。
「本当は休職したかったが、辞めてしまった」ケース
キャリア相談や退職面談の場で、次のような声を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
・メンタル不調があったが、休職の言い出し方が分からなかった
・上司との関係が悪く、相談すること自体が大きな負担だった
・「評価に影響するのでは」という不安が強く、退職を選んだ
このように、本来であれば一時的な休養で回復できた可能性のある社員が、制度を使えないまま退職してしまうケースは少なくありません。
結果として、本人のキャリアは分断され、企業にとっても貴重な人材の早期流出につながります。
休職代行は「撤退ではなく、一時停止」を可能にする選択肢
Yahoo!ニュースでも紹介されている通り、休職代行の利用者は20代を中心に、40代~50代の正社員にも広がっています。
背景には、「限界だが、辞める決断まではしたくない」という葛藤があります。
人事の立場から見たとき、休職代行が持つ意味は次の点にあります。
・体調が悪い状態でも、最低限の制度利用につながる
・感情的なやり取りを避け、不要なトラブルを防げる
・傷病手当金などの社会保障制度を活用できる
これは、「辞めるしかない」状況を回避する安全弁とも言えます。
短期的な休職よりも、メンタル不調を抱えたままの退職や、その後の離転職の繰り返しのほうが、本人・企業双方にとってリスクが大きいケースも多いからです。
人事として無視できない休職代行のリスク
専門家が指摘している通り、休職代行にはデメリットも存在します。
代行業者の質にばらつきがある
「本人が主体的に申し出られない」という印象を持たれる可能性
復職後の配置・評価に影響が出るケースがある
特に企業側から見ると、「直接やり取りができない」「意図が見えにくい」と戸惑いを感じる場面もあるでしょう。
また、休職制度自体が会社ごとに設計されているため、対応の判断が属人的になりやすいという問題もあります。
問題の本質は「代行の是非」ではない
重要なのは、「休職代行を使う人が増えている」という事実そのものです。
その背景には、
社員が自分の状態を正直に伝えられない職場環境
が存在している可能性があります。
・相談すると評価に影響するという不安
・就業規則が分かりづらく、要件を判断できない
・管理職がメンタル不調への対応に十分慣れていない
これらが重なった結果、「自分では言えないから代行を使う」という選択につながっているとも考えられます。
人事として考えたい3つの視点
休職代行の広がりを、単なる外部サービスの問題として片付けるのではなく、次の視点から見直すことが重要です。
① 休職制度を「ある」だけで終わらせていないか
就業規則に書かれていても、社員が内容を理解できていなければ意味がありません。
入社時や定期的なタイミングで、休職制度の趣旨や流れを丁寧に共有できているでしょうか。
② 休職を申し出た社員に不利な空気がないか
「休む=評価が下がる」という暗黙のメッセージが存在すると、制度は使われなくなります。
復職後を見据えた対応方針を、人事と現場で共通認識として持つことが求められます。
③ 休職後の選択肢まで設計できているか
休職はゴールではなく通過点です。
復職、配置転換、場合によってはキャリアの再設計など、複数の選択肢を用意しておくことが重要です。
「辞めなくてよかった」と思えるキャリアを増やすために
休職代行の利用拡大は、日本の職場において「休む」という選択肢が、まだ十分に機能していないことの表れとも言えます。
人事として目指したいのは、
・代行を使わなくても相談できる環境
・休職をキャリアの失敗としない制度設計
・社員が長く働き続けられる現実的な選択肢の提示
こうした積み重ねが、結果として離職防止やエンゲージメント向上につながります。
「休職代行」をきっかけに、社員が声を上げる前段階で何が起きているのかを見直すことこそ、人事に求められている役割ではないでしょうか。
【参照元】
Yahoo!ニュース|「退職代行」の次は「休職代行」サービスが急増?「利用者は20代、続いて40代~50代の正社員」業者が語る実態と専門家が指摘するデメリット
coki|退職代行の次は休職代行? 20代・40代利用急増の裏で 便利ツールの危うさと企業側の懸念
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